──...また、真っ暗な闇。

自分が立っているのか座っているのかすらわからないくらい。


吸い込まれそうなくらい暗い。


ここはいったいどこなんだろう。




『...ねぇ、咲誇ちゃん』




柔らかい声が、私を呼ぶ。


聞いたことの無い声。

だけど、優しくて、心地よい声...。


でも、その主の姿は見当たらない。




「...あなたは誰?どこにいるの?」


『咲誇ちゃんにお願いがあるの』




私の質問には答えてくれないみたい。


戸惑う私には構わず、ゆっくりと、その声は続けた。




『...彼を助けてほしいの』


「彼?」


『彼はとても苦しんでる。私のせいで、彼はずっと自分を責め続けてる』


「え...待ってよ、彼って誰のこと?」


『彼を闇から救い出せるのはあなたしかいない。ちゃんと向き合って、愛してあげて』




愛して...あげて?


でも、いったい誰を?

どうやって救えばいいの?


何に向き合えって言うの?


それだけだと何も分からないよ...。




「ねぇ、私はどうすればいいの!?」


『...彼を愛して。偽りなく、愛してあげて』


「それだと答えになってない...!!」


『大丈夫。...もうすぐ分かるわ』




声が、消えていく。


待ってよ...

私、まだ何も分かってないのに。



ちゃんと教えてよ...!!