「咲誇、お前はヘルメット取るなよ」
「え?」
「俺がアイツら引きつけるから。
顔を隠したまま、その隙に学校に入れ」
小声で私に言い、蓮央は1人でヤンキー集団の方に歩いていく。
すると、ヤンキー集団もザッと立ち上がった。
わらわらと蓮央の周りを取り囲む。
それには動じず、蓮央は明るい声でこう言った。
「すいません、王蘭高校ってどこですか?」
「あぁ?何だよテメェは。今いるここをどこだと思ってんだよ」
「あれ、ここなんですか?おかしいなー」
「おかしいって何がだよ」
「いやぁ、王蘭高校って一流のヤンキーがたくさんいるって聞いたんですけど、どうもそうは見えないもので」
「...あぁん!?喧嘩売ってんのか!?」
「まさか。思ったことを言っただけです」
...めっちゃ喧嘩売ってんじゃん。
まぁ、そのおかげでヤンキーたちの目線は誤魔化せてるけど。
呆然と突っ立っていると、蓮央に目で合図された。
行けってことだよね...。
大丈夫かな、と思いながらも、小走りで生徒玄関に向かった。


