携帯を取り出して連写しまくっていると、後ろから蓮央の安堵したような声が聞こえた。




「はぁ...間に合った...」


「間に合った、って?」


「午後4時07分42秒。今日のこの地域の夕焼け予報にそう書いてた」


「夕焼け予報...?」


「綺麗な夕焼けが見れる時間の予報だよ。
着いてから慌てて調べたんだからな」




...そっか?

でもなんで?


キョトンとしていると、蓮央はまたため息。


心底呆れた、という感じのそれが、ますます意味分からない。




「...別に、何でもねーよ。
ただ...せっかく来たんだし、ここからの景色を見せてやりたかっただけ」


「そっか...。ありがとう!!」


「うん」


「それにしても、ここって穴場だよね。よくこんな所知ってたね、蓮央」


「...まぁ、来たことあるし」


「そうなんだ〜。誰と来たの?」


「......」




蓮央は、黙った。


言うか言わないか、迷ったような顔をしてる。


...え、なに、その顔。

そんなに言いづらい人、なの...?



数秒くらい、蓮央は悩んで。


私の目を見ながら、ゆっくりと口を開いた。






「...元カノと、来た」