...と、思ったけど。
歩は真浩をその場に放置し、私の方に歩いてきた。
そしてその場に座り込んでしまう。
「え...真浩はいいの?」
「いい。俺じゃ手がつけられない」
「はい?...もしかして諦めたの?私が真浩を連れてこようか?」
「やめとけ。
死にたくなければ、黙ってアレを見てろ」
は、はぁ...?
チンプンカンプンなんですけど?
でも歩はそこから動く気は無いようで、真浩もその場で俯いたまま動かない。
だ、大丈夫かなぁ...。
具合悪いのかな?
そんな真浩に近付いた男たちは、ニヤニヤしながら挑発を始める。
「どうした?可愛い顔のキミ。
仲間に見捨てられて、ビビってんの?」
「ははっ、やめとけよ〜」
「そうそう。そーんな可愛い子に泣かれたら、俺ら困っちゃうよ〜!」
「言えてんなー!!」
「......黙れ」
ゲラゲラと下品な笑い声が上がる中で、突然、地を這うような声が響いた。
ピタリ、と笑い声が止む。
だ、誰?
今の声、どこの誰ですか...?
キョロキョロと見回しても、私たちの他には誰もいなくて。
でも、確かに聞こえたのに...。
「大人しくしてやれば、調子乗ってんじゃねぇぞ?この雑魚どもが」
ほら、また。
ありえないくらい低い声。
この声の主はどこにいるの?


