みんな先に行ってしまい、私と蓮央だけが並んで歩く。
蓮央も普通に歩けばもっと速いんだろうけど、今は私に合わせてくれてるんだと思う。
1人は寂しいだろうって気を遣ってくれてるんだよね。
「...いつも思うけど、あの二人、仲良いね」
「歩と真浩か?」
「うん。中学からの親友...だっけ?」
「らしいな。【睡蓮】に入ったときにはもう仲良かったから、出会いとかは知らねーけど」
「あの二人だし、きっとそれはそれは運命的な出会いをしたんだろうね」
「ははっ、かもな」
そんなくだらない話をしながら、ゆっくりと歩いていく。
木々を揺らす風が心地よくて、自然に囲まれた場所の空気は気持ちがいい。
ここ、来て良かったかも...。
あと、スニーカーで来て良かった。
もしヒールとかのオシャレ系だったら、確実に死んでた。
こんなに歩くとは思わなかったよ。
頂上らしき所の展望台につくと、疲れきったらしい圭太が座り込んでいた。
零羅さんは元気いっぱい。
「圭太ー、もっと上、上に行こー?」
「これ以上は無理だって...。ここが頂上」
「えー!?せっかくダッシュで来たのにー」
...あぁ、なるほど。
彼の疲労の原因を察した私は、静かに合掌した。
零羅さんの体力は底無しらしい。
対して諒真さんはというと。
「なぁなぁ、そこのキレーなお姉さん!!
俺と一緒に愛のテッペン目指しませんか?」
...ですよね。
何言っちゃってんだろ、あの人。
テッペン目指すも何も、もうここがテッペンですから。
これ以上は無理ですから。
ご愁傷さまです...。


