この日、私が発見したこと。


それは、登山はとても体力がいるってこと。




「もう動けないぃぃ...」




そう言って道のド真ん中でへばっているのは、私じゃない。


言っておくけど、私、体力には自信があるよ。


歩き始めてわずか1キロでダウンしたのは、真浩。

小柄で華奢な彼は、体力も女子並みらしい。


真浩の隣を歩いていた赤髪の彼が、呆れ顔で振り返る。




「真浩、何してんだ。行くぞ」


「あゆむ〜...助けてよぉ〜」


「お前を抱えて登れるほど鍛えてねぇよ」


「むー。歩の意地悪〜」


「ったく...そんなんだから諒真先輩に置いてかれんだろーが」




ブツブツ文句を言いながらも引き返してきた歩は、真浩に背を向けながらしゃがみこんだ。


このポーズは、まさか...?




「3秒以内に乗れ。じゃないと置いてく」


「乗る乗るー!!」




私の予想は大当たり。


真浩を背中に乗せ、軽々と立ち上がった歩。

スタスタと山道を歩いていった。


いやいや、充分鍛えてるじゃないですか...。


歩も、真浩限定ですごく優しいよね。


特別な友情があるって感じ。


さすがに、友情以上のモノはないと思うけど...。