「蓮央さん、登山の手続き終わった?」
「あぁ。零羅がはしゃぎすぎてるから、圭太たち2人は先に行くってさ」
「そっかぁ。じゃあ僕たちも行かなきゃ。
あーゆーむー!!行くよー!!」
「ダルい。めんどい。先行ってろ」
「ヤダヤダヤダ〜!!
そしたら僕と諒真さんの2人になっちゃうじゃん!!」
「お気の毒に」
「2人ともひでぇよ!!何で嫌なんだよ!!」
「「 うるさいから 」」
この3人は相変わらず騒がしい...。
何だかんだできっと歩も行くだろうし、このまま放置でいいかな?
やれやれとため息をついた蓮央は、自分がかぶっていたキャップを私に手渡してきた。
...?
何でキャップ?
あ、もしかして日除け?
「私、日焼けしないタイプだからいいよ」
「ちげーよ。男よけ」
「...え?」
「また絡まれたくなきゃ、それつけてろ。
顔が隠れて、少しは男よけになるから」
...もしかして、心配してくれてる?
さっきみたいな目に遭わないように?
優しいところもあるんだね...。
「ありがとう」
「礼はいいから、このコーヒー飲んでくれ」
「あぁ、蓮央は甘党だもんね?」
「...悪いかよ」
ちょっと照れたような顔が、少し子供っぽく見えて。
可愛いな、だなんて思ってしまった。


