『…あるけど。』
そう素っ気なさげに言ったのだけれど…
「ほんとですか?!よかった!」
彼はとても嬉しそうに笑顔で答えた。
なんか……犬みたい。今にも耳と尻尾が生えて
走り回りそうなくらい…可愛い。
不覚にもそう思った。
『それで用件は?』
「あ!そうですよね。い、一緒にか…帰りたいなって?」
『え…』
それってどういう…………
モジモジしながら顔を赤くしてそう言った。
もうさっきから私の頭の中は混乱しぱなしだ。
でも無意識に私は『いいよ。』と返していた。
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『「…」』
あの真っ直ぐで真剣な瞳を見て断れなくて一緒に
帰ることに。
玲花はって?玲花は今日直の日誌を書いているから
一緒に帰れなかった。
それよりも。この男他クラスだったのにどこで私を……
一番に浮かぶ疑問はそれだった。

