「あ!!柊真くん発見!」
屋上のドアの向こうからぴょこんと飛び出てくる小柄な人影。
それが誰なのか、俺には一瞬で分かった。
清楚な黒髪ロング。
長すぎず、短すぎないスカート丈。
ナチュラルなメイク。
ニコッと笑うと現れるえくぼ。
男の理想を詰め込みました、みたいなその子こそが、マイスウィートガールフレンドである美和だ。
お弁当を胸に抱えながら歩いてくる。
あー、何しても可愛い。
「屋上にいたんだね。たくさん探したよ」
「あぁ、ごめん。
けど今日は友達と弁当食うって言ってなかったっけ?」
「うん、ちょっと予定変更したの。
...それより、瀬戸くん...大丈夫?」
瀬戸とは亮介の苗字。
未だに_| ̄|●の格好だった亮介は、即座に立ち上がってサラサラでもない髪をかきあげた。
「俺は平気だ、美和ちゃん」
「なら良かったー。
柊真くん、隣に座ってもいい?」
「あぁ」
完全スルーされたな、亮介。
かきあげポーズでフリーズしてる。
残念。
俺の隣にちょこんと腰を下ろした美和は、可愛らしい黄色の弁当箱の蓋を開ける。
色とりどりでバランスも良さそうな弁当だ。
ちなみに俺は4時間目の前に昼食を済ませたから、昼休みの今は暇を持て余している。


