そして中学に上がり、入学式の日。
俺はあの日を一生忘れないだろうと思う。
俺の心に大きな傷を宿したあの日を...。
俺の中学の入学式では、新入生全員の名前が呼ばれ、返事をして立ち上がるのが決まりだった。
自分の名前を呼ばれて返事をしたあと、俺に向けられるたくさんの視線。
主に女子から。
俺はこの瞬間、ハッピーな中学生活を確信した。
初っ端からこんなに女の子たちに注目されるなんて。
甘酸っぱい青春の始まりだ!!
...が、数秒後、彼女らは何も見なかったかのように視線をそらした。
あとはお分かりだろう。
暗い暗い青春の幕明けとなったわけだ。
しかもどこかのバカが、
『アイツって小学校のころ、ネーミング詐欺系男子って呼ばれてたんだぜ!!』
とか言いふらしまくったおかげで、俺のあだ名は『詐欺師』になった。
そのせいで一度、警察に捕まりそうになったこともあった。
灰色の日々だった。
つーか、そこまで責められる必要ある!?
ただ単に同姓同名なだけなのに!!
イケメンの同姓同名はイケメンだなんて誰が決めたんだよ!!
今思うけど、あれは完全にイジメだわ。


