黒で無地のパーカーに、黒いパンツ。
足元は白のスニーカー。
大きなボストンバッグをひとつだけ抱え、彼女は笑顔で立っていた。
「お待たせ、柊真くん!」
...ええぇぇぇ!!?
ちょい待ち、一体どうした!?
いや、別にさ、黒無地のパーカーが嫌だって言ってるんじゃないよ!?
けど突然過ぎない!?
いつものパステルでふわふわ系はどこに消えた!?
まるでこれからハイキングに行きます的な格好なんだけど!!
しかもそのボストンバッグの中身は何だ!!
地味に気になる!!
「遅くなっちゃってごめんね」
「あ、い、いや...平気平気」
「お洋服選んでたら時間かかっちゃって。
...じゃ、行こっか!」
えっ?
その洋服を選ぶのにそこまで時間かかったの?
あっ、いや、バカにしてるわけじゃないよ?
そんなんじゃなくて、
黒無地×2の組み合わせをどうやったら迷うんだ...?
っていう素朴な疑問。
もしや、俺が思う以上に女子の服のセンスはデリケートなものなのか?
黒は黒でも違う黒なのか?
見た感じただの黒パーカーと黒パンツなんだが...。
ま、まぁ、なにを着ても可愛いことには代わりないし、美和は美和だし。
そこまで問題じゃないけど。


