怖くて、寂しくて、嫌われたくなくて。
今まで人と衝突するのを避けてきた。
私の言葉は、人を傷つけるかもしれない。嫌われてしまうかもしれない。
そう思うと、何も声にならなかった。
それはすべてあの日に繋がる。何のためらいもなく口から出た言葉が、二人の人生を変えてしまった日。
「私は、怖い。自分の気持ちを伝えるのが。」
今まで誰にも言えなかった想いが、こぼれ落ちる。
今日初めて喋ったはずなのに、どうして一ノ瀬くんには言えるのだろう…。
ううん、全部そうだ。
彼の不器用さにこぼした笑いも、彼の言葉にふと叫んだ私も、今までならありえない。
なのに、私は簡単にできてしまった。
不思議なひとだと思う。一ノ瀬くんは本当に不思議だ。
「変わりたい?」
ふと口を開いた一ノ瀬くんに、いつの間にか伏せていた顔をはっと上げる。
「変わる?」
「わかんない…」
