「そうなんだ…」


特別と言われて、なんとなく戸惑ってしまい、葉月くんの方を上手く見れなく顔をうつむく。


「まあ、だいぶ寝れるようになったかな。少し慣れたかもしれないけど」


そういえば、寝れていないって言っていたっけ?


葉月くんはおそらく神経質で気が強い性格なのだろう。


「……」


私はふとあの夢の事を話すべきだと思った。



それに、葉月くんに『言ってほしい』とお願いされたからというのもあるけど、言わなきゃいけない気がした。


「あのね、葉月くんは自分の事が嫌いなの?」


「うん、大嫌いだよ」


「………」


私の尋ねに考える事なく、むしろ潔くはっきりと笑顔で肯定した。


なぜそんな笑顔で言うのだろうか?


もう少し哀しそうに言ってくれてほしかったのだけど…。


理解ができる反応ではなかった。


「なんで?」


「なんでって嫌いなんだから嫌いなんだよ。
だから、意味なんて必要ないんだよ。正直、俺が生まれた意味なんて何もないんだから」


(ああ、そっか。同じなんだ)


葉月くんのお母さんと同じなんだ。


そして私も自分が嫌いなんだ。


自分を好きだと言う人は、この世界でどれだけ居るのだろう。


きっと少ないのだろう。


みんな自分がダメだとか、自分が必要ないとか、卑下しているんだ。


本当にあの人が言うように悲しい心だ。


(悲しい…ね)