急いで会社を出て、駅へ向かって走ると彼女を見つけた。 「北野!待って!」 「速水先輩…!駅に着いたら連絡しようと思ってたんです。」 「え?えっと…、なんかあった…?」 彼女はそう言うと、例の紙袋を持ち上げた。 「先輩に渡そうと思って。 でも、会社じゃ渡せなかったので。」 恥ずかしそうに、でもふわりと笑う彼女に 俺は目を奪われた。 「ありがとう。 俺にだったらいいのにって今日ずっと思ってた。」