数学の教科書とノートと、ペンケースを持って悪意の塊の部屋に入り直す。


「……お前さ、√2×√2の答え分かる?」


バカにしないでよ。


「√4でしょ」


中3の内容じゃん。


「は?お前……熱あんの?」


失礼な!


「ないわよ!」


ローテーブルの角を挟んで隣に座る悪意の塊の横腹を蹴る。


それを何事もなかったかのようにスルーし、私をバカにするような視線で見つめてくる。


雑誌とかで見るイケメンな顔。


ただし、腹の立つ顔。


「答え、2なんだけど?」


え?


2?


「はぁ…。お前ヤバイな……」