『つ…翼…!これは……その…』


板垣あゆが動揺してる。


『人のスマホ勝手に使って何してんの?さっさと返せ』


電話越しでもゾッとする性悪の低い声。


『ご、ごめん……』


小さな謝罪の言葉のあと、性悪の不機嫌そうな声が聞こえてきた。


『あゆの話聞いてた通りだ』


私、性悪を疑って家飛び出して……。


「ごめん…性悪……」


拓也の家に泊まって…。


何もなかったとはいえ、私が性悪の立場だったらイラつくよね。


「ごめん…」


『別にいーよ。あと、一応説明しとくけど、週刊誌のあの写真、無理矢理あゆに手を握られただけだから』


…そのシーンをたまたま記者が撮ったってこと?


そんな偶然ある?


『一緒に出掛けてたのは事実だけど、アイツの誕生日だっただけだから』


そっか。


性悪に悪いことしちゃった…。


『で、あの写真撮ったのはあゆの知り合い。あゆが頼んで撮ってもらったらしくて、それをマスコミにリークしたのもあゆ』


………板垣あゆはやっぱり性格が悪い。