「ハートの花火見たカップルは幸せになれるんだとさ」


え…。


「性悪知ってたの?」


意外。


そんなことどーでもいいって言いそうだけど。


「仁から聞いた」


さすが仁。


「でも、私たちカップルじゃないから幸せになれないね」


私がそう言えば、性悪は不敵に笑う。


「じゃあカップルになる?」


絶対からかってる。


ホントムカつく。


「なるわけないでしょっ」


こっちはこんなにドキドキしてんのに、からかうなっつーのっ!


「あっそ。つーかお前、いつまでリンゴ飴持ってんの?さっさと食えよ」


と指摘されてリンゴ飴の存在に気づく。


「忘れてた」


「やっぱバカだな」


ムカつく。


うるさい。


性悪が!


「……もう帰るか。花火見たし」


あの男たちがまだいるかもしれないもん…。


というか…〝花火見たし〟ってことは、花火見ることが目的だったの?


もしかしてあのハートの花火?


……なぁんてね。


自惚れは悲しくなるだけだもん…。


いつかこの恋…叶うといいなぁ……。