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お腹一杯食べて、お店を出たとき、仁が言った。
「ちょっと行きたいとこあるんだけど」
「いいよ、行こ」
食べ放題に付き合ってもらったし。
今度は私が付き合う番。
「サンキュ」
仁がバス停とは反対側に歩き始めたから、私もその後ろをついて歩く。
「手繋ぐ?」
「バカじゃないの?」
もう騙されませーん!
さすがにそこまでバカじゃないもん。
「ダメ?」
その可愛い系笑顔、ファンは胸キュンだと思うけど、私からしたら気持ち悪いだけですからねー。
「そういうのは彼氏としかしないの」
「翼と?」
……はい?
「アイツは彼氏じゃないから」
仁の頭の中は〝翼〟で一杯なのかな??



