「聞かなくてもだいたい分かるけどなー。翼が気づいてないだけで、お前は乃愛に惹かれてるぜ?」


俺が?


ふーん……。


別段驚くわけでもなかった。


これが好きって感情か。


「俺によく乃愛の話するし、普通に嫉妬してるし」


嫉妬??


何で俺が。


「嫉妬なんかしてねぇよ」


「してるしてる。俺、上から見てたけど、乃愛がプールでヤンキーに絡まれてたとき、鬼の形相してたぜ」


………思い当たる節がないわけじゃない。


「否定しないっつーことはそういうことだ。翼も乃愛が好き。俺も乃愛が好き」


……仁にだけはとられたくない。


なんとなくそう思った。


「正々堂々勝負といこーか。翼」