「あ……あの。何処に向かってるんですか?」

私は、お姫様抱っこの状態で廊下を歩いていた。

「保健室ですよ。こんな状態で一人になんてできません

し。」

それりゃあ、そうだよね。

でも、この状態はやっぱり恥ずかしい……!

早く、保健室着いて……!!

「よぉ!深夜!お前のクラスさっき騒いでたな……て、

お前何女の子かついでんの!?」

「この子が、俺が殴られる所を庇ったんだ。」

「え……!?殴る!?女の子を殴るなんて……どこの奴

だ……!許さねぇ……!」

会話を始めだしたので、私は思わず声をかけた。

「あ……あの!」

「ん?どうした……?」

「もう、保健室の前なので話すなら保健室で話しましょ

う……。この状態は……恥ずかしい。」

私を挟んで会話を始めだしたので、私は恥ずかしくて死

にそうだった。

「あぁ……。ごめん……!入ろうか。」

そう言い、保健室入り私は椅子に座った。

「先生いないみたいだな……。」

「あっ!自己紹介するね!俺は、海(かい)!で、お前

をかついだ奴が深夜(しんや)!」

「おい……!勝手に俺の自己紹介するな!」

「へへっ。悪い悪いっ!」

なんだか、二人とも良さそう。

「私は、咲夜(さくや)です。よろしくお願いします。」

「敬語じゃなくていいよ!タメ口で話して!」

「え!?でも……。」

私は、戸惑った。

すると、深夜は私の頭にデコピンした。

「いたっ!な……なに?」

「俺たち、同級生ですよ?タメ口で話しましょう。俺たちが、良

いって言ってるんですから。」

「そうそう!俺たちもう友達なんだし!そうだ!咲夜ち

ゃん!携帯持ってる?アドレス交換しようぜ!」

「え?いいの?」

「あたり前だろ!友達なんだから!」

その言葉に私は嬉しくなった。

友達……。初めて出来た友達……!

私は、微笑んだ。
 
「これから、よろしくね!海くん、深夜くん!」

その時、私は嬉しさのあまり二人の顔を見ていなかっ

た。

二人が顔を真っ赤にして、恋に落ちたことを。