保健室のドアを、ゆっくりと開ける。 カラカラカラ、という音と共にムワッと温かい空気が全身を包んだ。 寒さで引き締まっていた筋肉が、ストーブの温かさでゆるんでゆく。 ガーゼと消毒液の匂いが鼻を通り抜ける。 放課後の保健室は静かで、私以外誰もいない。 私はいつもの定位置の長椅子に座って、読みかけの本を開いた。