洗面所で顔を洗い化粧とヘアセットをしてから私はお義母さんからいただいたワンピースに袖を通した。

「聖さん、私の姿を見てなんて言うだろう」

思わず、そんな一言が漏れた。デザイン的にも着心地も申し分ない素敵なワンピースだが、何せ着るのがこの私なのだからと不安になってしまう。

洗面所の鏡に映る自分の姿を何度もチェックして迎えの時間が迫っていることもあり、覚悟を決めて聖さんの下へと足を進めた。

「着替えてきました……」

「似合っているじゃないか。とても綺麗だ」

リビングでネクタイを結んでいた聖さんがそう言って優しいまなざしを私に送る。聖さんのその言葉に自然と頬が緩んでいくのが分かった。お世辞なのは分かっているが素直に嬉しかった。

「さぁ、そろそろ行こうか？　迎えの車がどうやら着いたようだ」

ネイビーのお洒落なスーツにネイビーのネクタイ、さりげなく私の服装に合わせてくれたんだろう、いつも事務所で見慣れているスーツ姿の聖さんにエスコートされ私は玄関へと向かった。