エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい

「それは止めて下さい!」

気がつけば京極さんの右腕を掴んでそう言葉を発していた。

「紗凪ちゃん?」

私の行動にキョトンとした表情を浮かべて私の方を振り返った京極さん。私自身も自分の行動に驚いていたりする。

だけど凛華のことを傷つけようとする京極さんをこのままあの場所に戻す事なんて出来なかったんだ。凛華は恋愛にのめり込んでしまう性格だ。

世の中でいう浮気男やギャンブラーとか、兎に角ダメ男に引っかかる確率が非常に高くて凛華の男運はゼロっていってもいいくらい。

凛華にとって前回失った恋はあの恋愛体質の凛華がもう一生恋愛なんかしないと宣言するほどに大きなものだった。

そして最近、そのどん底からやっと抜け出して前向きにまた出逢いを探し始めた凛華。それに水を差すような京極さんの発言を私は黙って見逃すことができなかった。

「友達思いだね」

そんな私の耳にどこか楽しげな京極さんの声が届いた。