エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい

「いや、それは……あの」

「揶揄うのもそのくらいにして置いたらどうだ? ここは公共の場だぞ」

京極さんの悪戯な攻撃に終始押されていた私にひとつの救済の声が届いた。

「なんだかんだでお節介だよね? 聖くんは……」

その声に反応するように私の身体を解放した京極さんがゆっくりと声の主の方へと歩き出した。

「そんな怪訝な顔しないでよ、聖。分かったから」

そう言って東條さんの肩を叩き、そして京極さんの視線は再び私の方へと動いた。

「そんなに身構えなくても大丈夫だよ。紗凪ちゃん」

咄嗟に身構えてしまった私を見て京極さんがクスクスと笑う。

「本当に紗凪ちゃんって面白いね。ちょっとからかっただけだよ。じゃあ俺は宣言した通り凛華ちゃん辺り落としてこようかな」

次の瞬間、京極さんがそんなことを言い出して、沸き上がってきた焦燥感に私はーー。