エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい

「はい、どうぞ。カモミールティーです」

「ありがとうございます」

美玲さんが用意してくれたカモミールティーが入ったカップを手に取った。何口かゴクリと飲むと爽やかな香りが口の中いっぱいに広がる。

「緊張している時はリラックス効果があるカモミールティーがいいと聖お兄様が言っていたのを思い出してこれにしてみました」

美玲さんが私の前の席へと腰を下ろした。

「気を遣っていただきありがとうございます」

カモミールティーをいただきながら、暫く美玲さんと談笑していた。

「紗凪さん、いろいろ大変でしょうけど私も協力しますから何とか乗り切り……」

「……あれ?」

次の瞬間、美玲さんの声が急に遠のいたと思ったら、それと同時にゆらゆらと視界が揺らぎ出し、そして急激な眩暈と睡魔に襲われ始めた。

「……私、どうしたん、だろう。なんか急に……」

身体に感じたその異変の意味も分からぬまま、深く暗い闇に静かに落ちていく意識。

「だいぶリラックスできたみたいで良かったわ。紗凪さん、ゆっくり休んでくださいね?」

「…み、れい…さん、どうして……」

私が完全に意識を失う寸前、最後に見たのは冷酷な笑みで私を見る美玲さんの姿だった気がする。

「……さぁ、紗凪さん。あなたを東條家から排除するためのショーの始まりよ。あなたは聖お兄様の相手には相応しくないわ。だから全部ぶち壊してやる!」

意識を失った私の前で冷酷な笑みを浮かべながらそう呟いた美玲さんの声は私には届かない。