エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい

「……っ⁉︎」

だが、化粧室を出てすぐ隣の通路、喫煙室へと続くその場所に見えたふたつの影に何故か反射的に通路から死角になる場所に身を隠してしまった。

「聖、お前無愛想過ぎるって。見ててウケるんだけど」

「別に俺は普段通りだ。しかし、あのがっつき具合には少々疲れてしまう。まぁお前に貸しがあるから今日は来てやったんだが」

「聖くんはそういうところ律儀だもんね?」

「分かっていて誘ったんだろう? 相変わらず悪いな、暁斗(あきと)は」

私の耳に届いたそのふたりの会話。それは京極さんと東條さんのふたりで、どうやら合コンを抜け出してきた私と同じように一息ついているようだ。

こんな会話を聞いてしまって良かったんだろうか?これは明らかに盗み聞きってやつに違いないのだが、今更身動きが取れないという非常に厄介な状況だ。

「言葉が過ぎないか? 俺だって優しいところがあるんだけど」

「また今日もあの中の誰かを引っかけて遊ぶんだろう? そろそろいい加減にしないと罰が当たるぞ?」

「俺にとったらゲームなんだよ。凛華ちゃんあたりなら簡単に落ちそうだと思わない?」

次の瞬間、なんだか聞いてはいけなかった会話を盗み聞きしてしまう形になった私の耳に届いたのはーー