「…すごくかわいい」

実際に指にはめてみるとより一層かわいく思えて自然と頰が緩んでいく。

「奥様の雰囲気に合っていてとてもお似合いですよ。旦那様もぜひ、試してみませんか?」

「ええ、ぜひ。妻がとても気に入っているようなので」

「かしこまりました」

店員さんがそう言って聖さんに指輪を手渡した。聖さんの指輪はメレダイヤなどの装飾はなくシンプルだが同じ緩やかな曲線を描いたデザインで私よりも少し太めの作りになっている。

「この指輪は、“結い”という名前なのですが緩やかなウェーブは時の流れを表していて、おふたりの指輪を重ねるとぴったりと曲線が合わさるデザインになっています。奥様の方のメレダイヤは輝かしい未来を表しており、ふたつの指輪には運命によって結ばれたおふたりの幸せが穏やかな流れの中で永遠に続きますように、という想いが込められているんです」

店員さんのそんな説明を聞いてますますこの指輪が気に入った。

「素敵な想いが込められているんですね。聖さん、この指輪どうですか?」

「これがいいと思うよ」

聖さんがそう言って優しく微笑んだ。