エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい

「京極さんにバレてたなんて不覚だったな」

鏡に映る間抜け面をした自分を見て盛大なため息をついた。京極さんの鋭い指摘から逃げるように化粧室に逃げ込んで数分。

ひとまず落ち着こうとスーハーと深呼吸を繰り返してみる。そして乱れた髪をささっと手で直し気持ちをリセットしてみた。

まぁ何はともあれ京極さんとの連絡先交換も流れたし結果オーライというところか。

あんなにカッコよくて優しくて大人な対応をしてくれる完璧な男性はなかなかいない。それでも私の恋愛バロメーターは反応を示さなかった。

なんて贅沢者なんだ、と思わず突っ込みを入れたくなる。

まぁ、庶民な私には縁がなかったという事だろう。

そろそろ何事もなかったかのようにあの場所へ戻って、今日はイケメンを眺めながら楽しくお酒を飲もう、そう思い直して化粧室を出た。