暫しの沈黙が続き、カチカチと一定のリズムを刻む時計の秒針の音がやけに耳に響く。

チラッと隣に目をやれば、十分に距離を取って座ったはずなのに、至近距離の位置に聖さんがいて。

手を伸ばせば届きそうだけど縮まらないその距離が決して報われない私の想いを表しているようで胸がキュッと苦しくなった。

「紗凪、まずは君に謝らなければいけないことがある」

その沈黙を先に破ったのは聖さんの方だった。

「聖さんは別に悪いことなんてなにも……」

「いや、暁斗に聞いたんだ。悠斗のことや莉乃とのことで紗凪にすごい辛い思いをさせてしまった。俺がちゃんと紗凪の気持ちに寄り添えていなかったせいだ。本当にすまない」

そう言って聖さんは私に向かって頭を下げた。

「聖さん、止めてください! 頭なんか下げないで下さい!」

思いもしなかった聖さんの行動に戸惑って私は必死に聖さんの頭を上げようと聖さんの肩に手をやった。

そしてやっと頭を上げてくれた聖さんの表情はすごく申し訳なさそうで切なげだ。