あれよあれよといううちに京極さんに手を引かれ気がつけば、京極さんの車の助手席にいたりする。

でも京極さんはここから車を動かす気はないようで運転席の方からジーッと私の方を見つめている。

「まぁ、ひとまずこれでも飲んで? 身体が温まるから」

京極さんが駐車場すぐ近くのコンビニで買ったばかりのホットレモンティーのペットボトルを私に手渡してきた。

「ありがとうございます。いただきます……」

ゴクリとひと口飲んでみれば、冷え切った身体にじんわりとした温かさが広がって少し気持ちが落ち着いたような気がする。

「この寛大な心で紗凪ちゃんの話を聞いてあげるから。話してみ?」

京極さんが優しく微笑みながらそう言って私の顔を覗いた。