東條さんとの会話はそれっきりだった。なぜなら私の隣に座っていた凛華の後輩女子たちが東條さんに食いついたから。イケメン弁護士の肩書きは伊達ではなさそうだ。

私は次から次に東條さんに質問する興味津々後輩女子たちにその場を譲り、まったりお酒とおつまみを摘まんでいたそのとき。

「紗凪ちゃん楽しんでる?」

「え?」

自然と声があった方に意識が流れた。

「グラス空いたみたいだけど次、何飲む?」

「……えっと。じゃあ白ワインでお願いします」

「おっけー」

そう言ってニコリと微笑んだのは凛華と盛り上がっていたはずの京極さんだった。きっと私がひとりあぶれているのに気がついて声を掛けてくれたのだろう。

「紗凪ちゃんって休みの日は何してるの?」

「休みの日ですか?ジムに行ったりしてますね。夏とかは、ダイビングしたり。冬場はスノボとかに行きます」

「多趣味だね。実は俺もダイビングが趣味だったりするんだ」

「そうなんですか?」

「うん。宮古島で体験ダイブしたらその世界にすっかりハマって。そうだ! 今度一緒にダイビングしようよ?」

「え? あ、そうですね。機会があれば」

思いきり社交辞令を交わして、私はニコリと微笑み返す。