「弁護士さんですか?」
「紗凪ちゃん、よく分かったね」
ポツリとつぶやいた私の声を聞き逃さなかった京極さんがニコリと笑って私の方を見た。
「裏返しのバッチで気がつくとは。君も弁護士なのか?」
「え?」
「鋭い観察力だと思ってね」
「いや、私は法律事務所で事務員をしているので、普段弁護士の先生たちがそうなさっているのを見ているので」
「そうなのか」
テレビドラマでいう弁護士は胸元にキラリと弁護士バッジをつけていることが多いが、現実は多くの弁護士先生は裁判所や検察庁に行くときなどにしかバッジを表につけない。
普段、多くの先生は東條さんのように裏返しにバッジをつけている。なぜなら公につけていると変ないちゃもんや言い掛かりなどをつけてくる輩がいたり、変に法律相談を持ちかけられたり、そんなトラブルに発展したりすることがあったりして面倒だから、と事務所の弁護士先生に聞いたことがある。
とはいうものの、目の前に座る東條さんは例え表にバッジをつけていたとしても、なんだか近寄りがたい雰囲気に気難しさを兼ね備えているだけに声なんて掛けられることなんてなさそうだけれども。
「紗凪ちゃん、よく分かったね」
ポツリとつぶやいた私の声を聞き逃さなかった京極さんがニコリと笑って私の方を見た。
「裏返しのバッチで気がつくとは。君も弁護士なのか?」
「え?」
「鋭い観察力だと思ってね」
「いや、私は法律事務所で事務員をしているので、普段弁護士の先生たちがそうなさっているのを見ているので」
「そうなのか」
テレビドラマでいう弁護士は胸元にキラリと弁護士バッジをつけていることが多いが、現実は多くの弁護士先生は裁判所や検察庁に行くときなどにしかバッジを表につけない。
普段、多くの先生は東條さんのように裏返しにバッジをつけている。なぜなら公につけていると変ないちゃもんや言い掛かりなどをつけてくる輩がいたり、変に法律相談を持ちかけられたり、そんなトラブルに発展したりすることがあったりして面倒だから、と事務所の弁護士先生に聞いたことがある。
とはいうものの、目の前に座る東條さんは例え表にバッジをつけていたとしても、なんだか近寄りがたい雰囲気に気難しさを兼ね備えているだけに声なんて掛けられることなんてなさそうだけれども。

