「確かに子どもの体力って無尽蔵ですよね! うちの弟たちも体力がありあまっていて、最近ついていけないですもん」


口の端に米粒をつけてほがらかに笑う久保さんの前にはキャラ弁。


ご飯でできたウサギが、旗を手に笑っている。

海苔を切り貼りして作られた顔は、なんだかちょっと久保さんに似ている気がした。


お母さんが娘を思って作ったからなんだろうなあ。

小さなうずらの卵も鳥の顔がつけられているし、ハムで出来たバラの花や、星型の卵焼きは目に楽しい。


早起きをして手間のかかるキャラ弁を作るなんて、久保さんは相当愛されていると思う。



「何も身体をつかうことだけが遊びじゃないだろ? 折り紙とか、トランプとかで遊ぶのが好きな子だっているだろうし」

「甘い甘い! 床に座ろうもんなら、蟻みたいにうじゃうじゃ群がって圧しかかられるぞ」

「蟻って……。でも柳瀬、弟も妹もいなかったよね?」