どうしてなのか、自分でもわからないから困る。
なぜ有馬だけは、その他大勢と同じように無視できないんだろう。
「気にしてないよ。大崎さんの言うことも、もっともだと思ったし」
「ごめん……。あんなことわざわざ言って、有馬を傷つけたいわけじゃないのに」
「でも、大崎さんは僕のことが嫌いなんじゃない?」
「わたしを嫌ってるのは有馬の方でしょ? わたしは、嫌いっていうか……」
イライラする。どうしようもなく。
わたしに言ったことは置いておくとして、有馬自身は悪い人じゃないんだろう。
それはみんなが彼を聖人だと呼んでいることでもわかる。
有馬の本音はどうであれ、彼のやっていることにまるで非はないし、すべて褒められるような行いばかりだ。
偽善者だとしても、彼が責められる謂れはたぶんない
だからきっと、悪いのはわたしなんだ。
わたしも有馬も無言になり、湿った風がアーケードを吹き抜けていく。


