つまりムダに噛みついてくるなよ、ということらしい。
限界まで柔らかい言葉を使っているけれど、本音はそういうことだろう。
やっぱりいけ好かない奴だなあと、やたらと肌に貼りつくレギンスをつまんで思った。
でもわたしだって有馬からしてみれば、充分いけ好かない奴だろう。
着慣れない服に包まれて、頭が冷えてきた。
「あのさ……。さっきは言い過ぎた。ごめん」
「え? ああ……」
有馬を前にすると、どうしてかわたしは感情を抑えられなくなるらしい。
あんなにひどい言葉を誰かにぶつけたことはなかった。有馬がはじめてだ。
有馬が偽善者であったとしても、それはわたしには何の関係もないのに。
他人事だと放っておけばいいのに。
いままでもそうやって人と距離をとってきた。
有馬に対してだって同じようにすればいいのに、なぜかそれが出来ない。
自分からケンカを売るみたいに、余計なことをひとことどころか、いくつも口に出してしまう。


