「ふん。ちょっときれいにしてやっただけさ。随分汚れてたみたいだからね」
心が、という副音声が聴こえる。
おばあさんは冷たい一瞥をよこして、年齢に見合わないしっかりとした足取りで隣のお店に消えていった。
自分の祖母に限らず、やっぱりお年寄りは苦手だということを再認識した。
未来の自分だと思うと悲しくなる。ああはなりたくない。
そう思うと同時に、そんな風に考える自分が嫌になるから。
「もう、おばあちゃん! ……ごめんなさいね? ふたりとも、ケガはありません?」
「僕は大丈夫です。大崎さんは? 痛いところはない?」
慌てた様子のおばさんと、穏やかな笑顔の有馬に挟まれ、仕方なくうなずく。
首が錆びついたように鈍い動きだったけど、なんとか「大丈夫です」と答えた。
「そうだ、いまタオル持ってきますから!」
おばさんが隣のお店に走っていくと、入れ替わりで雑巾片手に久保さんがこっちに駆けてきた。
「だ、大丈夫ですか先輩っ」


