明日死ぬ僕と100年後の君


どうして有馬が謝るの?


商店街を汚いと言ったのはわたしだ。何度も言った。確かに言った。

けれど有馬は一度もそんなことは言っていない。

文句を言っていたのも、こんなのムダだと言っていたのも、全部あたしだ。


有馬が謝る理由なんて、なにひとつない。


だったら有馬が謝ったのは、人の為。わたしの為か。

わたしの為に謝ったのか。


水浸しになった身体より、ずっと不快なものが胃のあたりにぐるぐると渦をまくようにして溜まっていく。

そういう所が嫌なんだ。有馬のそういうところが、腹立たしくてたまらない。



「ちょっとおばあちゃん! 何やってるの!?」


またひどいことを口にしてしまいそうになった時、隣りのお店から小太りな中年女性が飛び出してきた。

派手なヒョウ柄のパンツをはいた、ライオンの鬣みたいな髪をしたそのおばさんは、おばあさんと倒れるあたしたちを交互に見て、顔を青くする。



「まさか、学生さんに水ぶっかけたの!?」