会話もなく、淡々とそれぞれがそれぞれの仕事をしている。
そこには会話もなければ、笑顔もない。誰もが忙しそうで、誰もが他人を気にしていない。
それは普通。とても普通の光景だった。
「大崎は、第一希望、第二希望、第三希望って文字は読めなかったのか? 普通3つ書く欄があったら、全部埋めてくるだろうが」
「そう言われても……就職しか希望がなかったんです」
「進学はまったく考えてないのか? まあお前の成績は良好とは言えないが、目も当てられないってほどでもない。いまから勉強すれば充分間に合うし、大学が嫌なら専門学校っていう道もある」
「いえ……。大学や専門学校で、特に学びたいことがないので」
正直に答えると、またため息をつかれた。
どうしたもんかなあ、という心の声が聴こえてきそうなため息だ。
「勉強したいことがないから就職するのか? とりあえず大学に行っておけば、学びたいことも見つかるかもしれないだろ。見つかった時に身動きも取りやすいし」


