有馬から視線を剥がして、目の前のシャッターを見る。
こんなにがんばってきれいにしても、また同じことが繰り返されるだけだ。
落書き犯はたぶん、描くところがなくなったスケッチブックが、新品同様になったと喜ぶだろう。
そしてわたしたちが掃除をしたシャッターは、再び品のない落書きで埋め尽くされる。
ここの商店街自体が、商店街にいる人たちが変わらなきゃ、きっと何も変わらない。
こんなボランティアを時間のムダだと思うのは、おかしなことじゃない。
「本当にこの商店街のためを思うなら、こんなムダなことしてる場合じゃないでしょ。ボランティアで掃除なんかしたって、きっと一週間で元の汚い商店街に戻ってるよ。そんなの有馬だってわかってるんじゃないの?」
「……そう、かもしれない。でも」
「かもじゃなくて、そうなんだよ! 汚い商店街に戻ったら、またボランティアを頼まれて、掃除するんでしょ? 断らないんだよね。ボランティア部だから好きに使ってくれって言うんだよね。だって有馬がこの汚い商店街のことを真剣に考える必要なんてないんだから」
有馬は薄い唇を、固く引き結ぶ。
いつも優しげに微笑む目元が、いまはあたしを強く見据えている。まるで睨みつけるように。


