「大崎さん。本当に大丈夫? やっぱり僕が上やるよ」
「いいって。わたしのことは気にしないで」
さすがボランティア部の聖人。嫌いな相手でも一応心配はしてくれるらしい。
まあ、ただのポーズかもしれないけど。
わたしのことが嫌いなら、わたしがどうなろうと別に構わないんじゃないのかな。
本当は気なんて遣いたくもないのかもしれない。
そういう本音をすっかり覆い隠して笑っているんだと思うと、モヤモヤが膨らんで腹が立ってくる。
人間なんてみんな自分勝手な生き物なんだから、本音を隠したって仕方ないのに。
「……ねぇ。有馬ってさ、なんでボランティアやってるの?」
「え?」
琥珀色の瞳を丸くしてこっちを見上げた有馬は、意外なことを聞かれたという感じの顔をしている。
まあ、こんな質問いままでされたことがないんだろう。
みんな『有馬がボランティアをしているのは聖人だからだ』というわけわからない方程式を信じていそうだから。


