明日死ぬ僕と100年後の君


涙で歪んだ視界の向こうで、反対側の通路のお店のシャッターを、久保さんが同じようにきれいにし始めていた。

あちらは手慣れているらしく、素早くスプレーを吹きかけ離れている。


見よう見まねでスプレーを使い、数分置いて雑巾で拭いてみたら、本当に意外ときれいに落ちていてびっくりした。

通販番組の「見てくださいこの効果!」なんてフレーズが頭に浮かぶ。


これはちょっと、楽しいかもしれない。

ゴミ拾いよりは成果がすぐに実感できるし。



「大崎さん、出来てる?」

「あ、うん。こんな感じでいいの?」


水を張ったバケツを片手に、低めの脚立を肩にかついだ有馬が戻ってきた。

軽々持っているあたり、細身だけど男子なんだなあとぼんやり思う。


「いいね。ちゃんと落ちてる。じゃあ俺はきれいになった所から水拭きしていくから、どんどん消していってくれる?」

「はーい……」



久保さんはさっきからひとりですいすい掃除している。

有馬がわたしの横についてくれるのは、わたしが今日初参加だから気を遣っているからなんだろうか。