1年生の久保さんは、腕を広げて言い切った。
大きめのジャージをだぼっと着こなす彼女には、確かに似合っているように見えなくもない。
「かわいい? この小豆色に二本の白線が入ったジャージが?」
「レトロでいいじゃないですか~。わたし、寒くなったらこの中にフードのついたパーカーを着るの、楽しみなんです!」
なるほどなあと、久保さんの全身を見て納得する。
可愛くアレンジされた髪には綺麗なヘアピンがついていて、爪はさりげなく薄いピンクのネイルが塗られ、上靴はウサギのクリップがついたりと派手にデコられている。
彼女はおしゃれが好きなんだろう。
昭和な香りのダサいジャージも、久保さんにかかればレトロかわいくなるわけだ。
レトロって便利な言葉だなあと感心する。
うちのただ古いだけのボロ家も、もしかしたらレトロと言えるのかもしれない。
「でも、やっぱりダサいと思う」
「着てると段々気にならなくなりますって」
そう言われても、わたしはもうこのジャージを着て2年目になるんだけどなあ。


