「ありがとう、柳瀬。がんばって」
「おう。じゃ、大崎さんまた今度な」
野球少年らしく爽やかに笑って、柳瀬くんはわたしの肩を気安く叩いて出て行った。
大きな手の感触が残った肩に、苦手だなあと内心苦笑いする。
大柄な彼がいなくなると、狭い部室が多少広く感じられるようになった。
残ったのは困り笑顔の有馬と、やる気に満ち溢れた表情の後輩。
そして机の上でくわぁとあくびをする、可愛げのない猫。
なんだか向かい合っているだけで疲労感を覚えるメンツだ。
別に仲良しこよしになる必要はないけれど、このメンツで1ヶ月行動していかなくちゃならないと考えるととにかく気が重い。
「じゃあ僕たちも行こうか。はい、大崎さん。これ持って」
有馬に差し出されて反射的に受け取ったのは、水色のプラスチック製バケツだ。
中には雑巾、ビニール袋、軍手、金属製のトングなんかが入っている。
これから掃除をしに行くんだぞ、と改めて思い知らされるラインナップにげんなりした。
「ほんとにやるんだ……」


