明日死ぬ僕と100年後の君


年の割にしゃんとした背が襖の向こうに消えて行く。

最後の方はほぼ、お母さんに関する愚痴になっていた。


看護師をしているお母さんは、いま総合病院の救急に配属されていて忙しく、家に帰ってこないことも多い。

帰ってきてもぐったりと疲れきっていて、家のことは何もせず眠ってしまうこともしょっちゅうだ。


そういうお母さんが、おばあちゃんは気に入らないらしい。

仕事だと言っているけれど、夜遊び歩いているんじゃないかと疑ってよくぶつぶつと文句を言っている。

お母さんもお母さんで、いつも家にいてイライラしているおばあちゃんのことを嫌悪しているものだから、ふたりが顔を合わせれば口喧嘩ばかりになる。


いつだってピリピリしている家の中は、居心地が良い場所とはとても思えない。

古くて薄暗く、重い空気の流れるこの家が、わたしは物心ついた頃からずっと苦手だった。



「あれぇ。いらっしゃあい」



荒れ放題の庭をぼんやりと眺めていると、不意に小さく震えるような声がかけられた。

振り返ると、ベッドの中からしわくちゃの顔がこっちを見ていた。