明日死ぬ僕と100年後の君


「はい。こちらこそ、ありがとうございます。お気をつけて」



丁寧に頭を下げる有馬に目を細め、おばあちゃんは上機嫌で出かけていった。


今日はじめて紹介したというのに、おばあちゃんはすっかり有馬がお気に入りらしい。

「いまどき珍しく礼儀正しい子」という判断をくだし、初対面からベタぼめだった。


わたしには初対面で「大嫌いだ」と言うような失礼な一面もあるのだと、言いたくなるのを耐えるのにかなり苦労した。



「お若いね。年齢を感じさせない人だ」

「まあね。うちの家系はみんな若く見えるから。お母さんも年齢不詳ってよく言われてるし。長生きだからかなあ」



あまり母親らしいことをしてもらった記憶はないけれど。

まれに友だちが家に来てお母さんを見ると「いくるちゃんのママ、若くて美人でいいなあ」と言われたりしていた。


寂しさはつねに付きまとっていたけれど、自慢のお母さんだったのだ。



「……ごめんね」

「え。なに? どうして有馬が謝るの?」

「俺のせいで、君はそんなに長生きできないかもしれない」