「え……」
そして突然、身体の真ん中が焼けるように熱くなったかと思えば、胸のあたりがぼんやりと光り出した。
これは、まさか。
呆然としているうちに、光はわたしの身体から、分裂するアメーバのようにぽこんと飛び出した。
それが何であるかを認識する前に、突然奪っていった影。
黒のように見え、灰色にも銀色にも見える、不思議な色の猫が軽やかに着地をして振り返る。
その猫の口には、いままさにわたしの中から現れた光る玉がくわえられていた。
ゆらり。
まるで「じゃあな」と挨拶代わりのように長い尻尾をひとつ揺らすと。猫は光る玉をくわえたまま、横たわる有馬の身体に飛びこんでいった。
その瞬間、有馬の身体が眩い輝きを放った。
「な、なに……?」
目の前で起こったことが、信じられない。
輝きが落ち着くと、猫は消えていた。
いや、有馬の身体の中に吸い込まれるようにして入っていったように見えた。
一体何が起こったのか。
「どう、して……」