親じゃない、もっと大きくてあやふやな存在に、不気味なものを押し付けられた。
どうしそれが自分だったのか、と。
そうやってありもしない何かを恨んで、引きずるように生きてきた。
これからも死ぬまで、そうやって孤独に生きるんだと。
わたしは自分で自分に、そういう呪いをかけていたのだ。
「でも、そういうのはやめにした。長かろうが短かろうが、わたしの命だっていまは思う。やりたいことが出来たから。わたしね、有馬。死ぬ場所を作りたいの。安心して、最後を迎えられる場所。大人でも、子どもでも、老人でもいい。死ぬ時はここで死にたい。そんな風に思えるくらい優しい場所を作りたい。誰にも邪険にされない、迷惑がられない、ひたすら優しくてあったかい場所がいい。たくさんの人に囲まれた、天国の入り口みたいな」
周りにどんどん野次馬が集まってきた。
救急車のサイレンも遠くに聴こえる。
それでも誰も、わたしたちの傍には来ない。
いまはそっとしておいてほしかった。
「でも、わたしバカだから。ひとりじゃきっと、無理だと思うんだ。だって具体的には何も思い浮かばないんだもん。だからね、協力してほしいの。有馬はさ、頭いいじゃん。わたしとちがって、勉強もちゃんとしてるし。補習さぼってペナルティくらうわたしなんかとは、全然ちがう。ねぇ、有馬。聞こえてる……?」


