明日死ぬ僕と100年後の君


お母さんは家の中より、家の外をいつも見ていた。

小さい粒になった背中から視線をはがし、雑草に囲まれた飛び石を踏み玄関に向かう。



「ただいまぁ」


玄関はガラスの入った引き戸で、カラカラとなかなか派手な音が鳴る。

家が古くて歪んでいるせいか、時々引っかかるのが面倒だ。


直そうよと言っても、家族は誰も動かない。

みんな自分のことで手一杯だからだ。

建付けの悪い玄関の戸の優先順位なんて、低すぎて見当もつかない。わたしももう諦めている。


「おかえり」の声が返ってこないのもいつものことだ。

ポイポイッと靴を薄汚れた三和土に脱ぎ捨てて家にあがる。


縁側を歩くと、傷だらけの板床はそれだけでミシミシと不安になる音を立てた。

途中あちこちに置かれた雑誌や新聞の束に、古びた壺や置物が、わたしの行く手の邪魔をする。


年々家の中がごちゃごちゃしていっていることには気づいている。

けれどわたしも含め、みんな見て見ぬふりをしていた。


うちはみんな、余裕がない。いつからこうなってしまったんだろう。