折れている。
きっと腕だけじゃない。
腕も、頭も、見えない身体の内側も、きっとあちこちが傷ついて、有馬の命をゆっくりと奪っている。
彼のたった、1日限りの命を。
「有馬。わたしね、やりたいことが見つかったの。まだ具体的には何も考えていないし、どうやって実現させられるのか見当もつかないけど。それでもはじめて、目標みたいなものが出来たんだよ」
聴こえてる? と問いかけても、返事はない。
どう見ても死にかけているのだから当然だ。
うっすらと開かれた有馬の唇から、短くか細い息がもれている。
苦しいのだろうか。
それとももう、痛みや苦しみなど感じない所まできているのだろうか。
白い指をほんの少しだけ撫でる。
冷たい指先。
いまにも崩れ落ち、粉々になり、風で飛ばされてしまいそうな有馬の身体。
命の灯が、消えようとしている。
彼がこの3年ほど、もがきながらも必死に繋いできた命が。


