だからそうなる前に、有馬の元へ行きたかった。
わたしを突き動かすのは、なんの根拠もない不安、ただそれだけ。
児童養護施設のボランティアの帰り、有馬と通ったあの道に着いた。
車の往来が激しく、横断歩道の他に歩道橋もあったあの交差点。
左右の歩道。横断歩道。
車の行き交う道路、中央分離帯。
対向車線のその向こう側。
あちこちに視線を走らせたが、有馬の姿はどこにもない。
ここでもないのなら、もうお手上げだ。
そう思った時、またどこかで猫の鳴き声がした。
ハッと右に目を向けると、不思議な毛色の猫がいた。
「おっさん……!」
猫は歩道橋の階段下にちょこんと座り、こちらを見ている。
まるで「ここだ」と訴えるように。
まさか、と。猫のいる場所から視線を動かす。
階段をのぼり、歩道橋の上へ。
「有馬……っ!」
彼はいた。
歩道橋の中央付近で、道路を見下ろすように立っている。
私に気付いた様子はない。
ようやく見つけたとほっとした次の瞬間、身体が凍り付くような寒気に襲われた。


